詩/散文とか創作物。
ある朝、ガヨは言いました。「そうだ、夜を探しにいこう」 ガヨはベッドから起き上がると、いそいそと大きなバスケットを取り出しました。 その中においしそうなサンドイッチをひとつ、ふたつ、みっつ。チーズとハムとレタスを挟んだやつです。バスケットに…
「オーブントースターを使わずにブッシュ・ド・ノエルを作れるらしいよ」 フローリングの床に長々と寝そべる彼に彼女がそう言ったとき、この部屋はまだ八月だった。 なんてことはない。壁にかけてあるカレンダーを長いことめくらずにいただけである。 カレン…
童話、人魚姫の二次創作小説です。作品のイメージを壊したくない方は戻るをタッチお願いします。---------------------------------------その昔。とある海の深く奥、七色に輝く魚や揺らめく昆布、踊ったまま飲まれていくプランクトンやふわふわと海底を歩く…
目をつぶると丸い輪っかが見えるじゃない。私のは緑色してる。前に1日中それを見ていた事があって気付いたんだけど、輪っかじゃなくて井戸なんだ。私が井戸の底に居て、そっから空を見上げてる。なんでそれがわかったかって言うと、井戸の上から誰か覗いたん…
わたしが出会う前の記憶や光景を、あなたがどんな人だったかを、わたしは知ることが出来ないけれど時たま覗かせる思い出話にちらつく出来事が今のあなたを輝かせているんだろう、それでもそんな風に培われたあなたのかなしい優しさや忍耐強さの役立つ機会が…
わたしが君の前からいなくなったら、少しぐらいあの子に抱いたような後悔とか未練とか、そんな感情を、わたしにも抱いてくれたらいいのに。
閉じ込めた記憶を開ければ声は未だに禍々しい近頃 わりと幸せで慣れた言葉が痛かった私に正邪は愛せない
胃が私の意志に反して吐き気を催すほど急激にぐるぐるとかき回される。電車で3駅離れた所にあるほんの少し高いケーキ屋の品高い栗の濃厚な香りのする、大好物のはずだったモンブランも何故だか今日は過剰なまでの悪臭を放っている。試しにほんの一口だけ舌…
喉に何かがつっかえてうまく喋ることもうたうことも出来なくなったときただ膝を抱えて俯くしか与えられずいくら叫んでも醜い呻き声と消えたかすかな自己主張 届きますかわたしはここにいます誰か気づいてください日に日に消えゆく夢はまぼろしわずかに差し…
忘却という便利な本能が既に過去の清算を終わらせていて残ったのは僅かな記憶いつの間にか大人になっていた身体再生を望むよりも自己の整理を行うよりもこの目を声帯を潰すことが先だ貴方に愛を紡いだこの声を貴方を信じたこの身自体を壊さなければ気が済ま…
わたしの手の寂しさを見てきみは手を重ねた寂しさが深さを増した伏せてた顔を上げると君の目に少し滲んだ後悔がわたしの安易さ責めたてた寂しさを理由に手をつないだ