抜歯と流れ星
来たる中国正月、下の奥歯を抜いた。
朽ちかけてぐらついていた歯がフェイスロックで見事に歯茎に突き刺さってしまったのだ。数週間に渡る痛みもピークに差し掛かり、片耳がポイーンと聴こえづらくなって来たところで歯医者行きを勧められ、決意。抜歯に至った。
待合室のこどもがギャン泣きする程度に泣き喚いた。恐怖と痛みからくる手足の震えで診察台が揺れる。まるで拷問を受けているよう。
夜がふけていく。
麻酔が切れて鎮痛剤の効果も薄まる頃、また痛みで目を覚ます。寝れずに夜風に当たるため外に出たら、たまたま流れ星を見た。
もしも願いをかけるとしたら、我が愛しのるびぃちゃんに生が宿り、動けるようになりますように。これに尽きる。
本来ならば家内安全や恋愛成就、長寿とか健康とか色々と願うべきことはあるはず。でもうさぎという月属性のことを切望してお星さまが嫉妬する様を思い浮かべつつ、敢えて、るびぃちゃんに関する私事にした。
もしるびぃちゃんが生を宿して動き回り、布団の中でおもらししても怒ったりしません。近頃、ラオスは連日雨など悪天候が続きますが、シーツや毛布の洗濯など面倒極まりない作業だって笑顔でやります。
すべては馬鹿ほど可愛いうさぎの所業だと、きっと自然と頬も緩むことだろう。
この年になるとお願いの意味も重みも違ってくる。冷静に切ない。赤子もおりません。独身です。よろしくお願いします。